「この際だから、言っておくが、オレ、別に委員長のこと嫌ってねぇけど」
「・・嫌いだから、張り合ったんだろ?」
「いや、それは・・委員長があんまりオレだけに手厳しく突っかかってくるから、つい──場の雰囲気っての?だから、嫌いとかそういうンじゃ、全然ねーよ」
「・・───」
言えば言うほど、委員長の眉間には皺が寄り、目つきが鋭くなってゆく。
表情は明かに「信じられない」と言っていた。
イロ眼鏡もここまで頑だと、むしろ、呆れるぞ・・。
表情は明かに「信じられない」と言っていた。
イロ眼鏡もここまで頑だと、むしろ、呆れるぞ・・。
「考えてもみろよ・・。委員長にはあったかもしんねーけど、オレには嫌う理由、ねぇじゃん?まして、相手は超がつく万能な優等生。のほほんとしてるオレが生理的に気に入らないんだろーなー。住む世界違うし、軽く流しておくかーぐらいにしか、思ってなかったっての」
言葉に嘘はない。
つい何時間か前、まだ学校に居たときはそう思ってた。
オレが委員長から魔法を奪っちまった事実を知るまでは、ありがちな優等生と劣等生の確執なんだ、と。
そう、か。
もぅ、前みたいにやり合うことはなくなるんだよな。
アレはアレで、一種のコミュニケーションだったから、ちと惜しいような・・。
つい何時間か前、まだ学校に居たときはそう思ってた。
オレが委員長から魔法を奪っちまった事実を知るまでは、ありがちな優等生と劣等生の確執なんだ、と。
そう、か。
もぅ、前みたいにやり合うことはなくなるんだよな。
アレはアレで、一種のコミュニケーションだったから、ちと惜しいような・・。
「──わたしの本気は、軽く流されていたわけか」
「へ?あー・・いや・・悪気があったんじゃなくて・・なんつーか、その・・」
「へ?あー・・いや・・悪気があったんじゃなくて・・なんつーか、その・・」
──なんでソコをつっこむかな・・。
そうせざるを得ない状況だったんだから仕方ねぇだろ。
察してくれっていうのは・・無理な相談か。
そうせざるを得ない状況だったんだから仕方ねぇだろ。
察してくれっていうのは・・無理な相談か。
「・・・・・正直、これでもオレ、委員長のことかなり尊敬してんだぜ。鬼のように頭イイし、運動神経も並じゃねーし、それに・・」
言いかけ、じっと彼女の顔を見つめた。
確かに、な、そうだけど・・面と向かって言えることじゃないよな。
確かに、な、そうだけど・・面と向かって言えることじゃないよな。
「それに・・なんだ?」
遠慮も容赦もなく訊ねられ、困り果てる。
親の心子知らずって言葉は、まさにこの場面で使われるべき言葉だな。
オレと委員長、親子じゃねぇけど・・気分的には、そんな感じ。
押し黙るオレの目の前で、どんどん機嫌が悪くなっていくインテリ銀縁眼鏡・・を掛けてない、素顔の彼女。
言うしかねぇか・・褒め言葉だし、これ以上、機嫌損ねることもないだろ。
オレは観念して、続く言葉を口にした。
親の心子知らずって言葉は、まさにこの場面で使われるべき言葉だな。
オレと委員長、親子じゃねぇけど・・気分的には、そんな感じ。
押し黙るオレの目の前で、どんどん機嫌が悪くなっていくインテリ銀縁眼鏡・・を掛けてない、素顔の彼女。
言うしかねぇか・・褒め言葉だし、これ以上、機嫌損ねることもないだろ。
オレは観念して、続く言葉を口にした。
「美人だし」
「美・・人・・?」
「美・・人・・?」
言ったものの、めちゃくちゃ気恥ずかしい。
当人、完璧にキョトン顔だし。
オレ、もしかしてすげぇ間抜けな台詞吐いたんじゃ・・。
カーッと血が上って、求められてもいないのに、フォローする。
当人、完璧にキョトン顔だし。
オレ、もしかしてすげぇ間抜けな台詞吐いたんじゃ・・。
カーッと血が上って、求められてもいないのに、フォローする。
「ほ、ほら、アレだ。普段は眼鏡掛けてたり、髪に隠れてたりしてよく顔見たことなかったから気づかなかったけど、奇麗な顔してたんだなって。オレ、結構、委員長みたいな系統の顔好きかも、とか・・あぁ、オレの好みなんかどうでもいいか」
彼女のことだから、勝ち誇った調子で「当然だ」とでも返してくるのかと思っていたオレは、一変した表情に、ただ、唖然としてしまう。
常に不機嫌顔で、どちらかといえば喜怒哀楽に乏しく、ほぼ変わらない顔色が・・赤く染まっていた。
なんだよ、この反応は。
まるで、“オンナノコ”じゃねーか。
ますます気恥ずかしくなったオレは、つられたように顔を火照らせて、頭をかいた。
こういう場合、どうしたらいいんだ・・?
再三に渡る“どうしたらいいか解らない状況”に、やはりオレは、彼女の出方を待つ方向で落ち着いてしまう。
唐突に勢いよく立ち上がる委員長。
常に不機嫌顔で、どちらかといえば喜怒哀楽に乏しく、ほぼ変わらない顔色が・・赤く染まっていた。
なんだよ、この反応は。
まるで、“オンナノコ”じゃねーか。
ますます気恥ずかしくなったオレは、つられたように顔を火照らせて、頭をかいた。
こういう場合、どうしたらいいんだ・・?
再三に渡る“どうしたらいいか解らない状況”に、やはりオレは、彼女の出方を待つ方向で落ち着いてしまう。
唐突に勢いよく立ち上がる委員長。
「バカなことを・・。食べ終えたなら、片付けるぞ」
吐き捨てて、ものすごくぎこちない動作ながら、空になった皿を集めて重ねてゆく。
平静を装っちゃいるが、顔は真っ赤で、彼女が凄まじく動揺してるってことは一目瞭然だった。
・・委員長でもこんな表情するんだ・・。
完璧に近い彼女が初めて、年相応に見え、変な余裕が生まれる。
なんか今日は、ショックなことも多いけど、レアなことも多い妙な日だな。
至極冷静に振り返っていたら、鈍い破壊音が耳に届く。
姿勢を崩して、手を滑らせた委員長がコップを取り落としたらしく、無惨に砕けたガラスの破片が、テーブルの上に散らばっていた。
しかも運悪く、傾いだ身体を支えようと着いた手は、その破片の上に──。
平静を装っちゃいるが、顔は真っ赤で、彼女が凄まじく動揺してるってことは一目瞭然だった。
・・委員長でもこんな表情するんだ・・。
完璧に近い彼女が初めて、年相応に見え、変な余裕が生まれる。
なんか今日は、ショックなことも多いけど、レアなことも多い妙な日だな。
至極冷静に振り返っていたら、鈍い破壊音が耳に届く。
姿勢を崩して、手を滑らせた委員長がコップを取り落としたらしく、無惨に砕けたガラスの破片が、テーブルの上に散らばっていた。
しかも運悪く、傾いだ身体を支えようと着いた手は、その破片の上に──。
「ぅ・・」
「うわっ、だ、大丈夫か!?」
「うわっ、だ、大丈夫か!?」
じわりと滲んだ紅い液体を目の当たりに、余裕は一瞬にして吹き飛んだ。
慌てて傷を負った委員長の手を取って、看る。破片こそ刺さっていないものの、見事に手のひらの皮膚が裂け、じくじくと血を滲ませていた。
見目にも痛々しい──実際、かなり痛いんだろう。
赤みを帯びていた頬は一気に血の気を失い、眉根を寄せ、唇を噛んで耐える彼女。
慌てて傷を負った委員長の手を取って、看る。破片こそ刺さっていないものの、見事に手のひらの皮膚が裂け、じくじくと血を滲ませていた。
見目にも痛々しい──実際、かなり痛いんだろう。
赤みを帯びていた頬は一気に血の気を失い、眉根を寄せ、唇を噛んで耐える彼女。
「ちょっと我慢してくれ。今、《治す》」
手をかざし、意図して単語に魔力を込めた。
が、傷口は変化なく、血を滲ませるばかり。
なんで?魔力切れでもないだろう・・ンな使ってねぇし。
が、傷口は変化なく、血を滲ませるばかり。
なんで?魔力切れでもないだろう・・ンな使ってねぇし。
「・・無駄だ。わたしに魔法は、効かない」
「なん・・それも、オレのせい、か?」
「・・・・・」
「なん・・それも、オレのせい、か?」
「・・・・・」
沈黙は認める言葉と同じ。
くそっ・・まぢかよ。
オレ、怪我した委員長になんにもしてやれねぇってことじゃん。
くそっ・・まぢかよ。
オレ、怪我した委員長になんにもしてやれねぇってことじゃん。
「・・いいから、救急箱、を・・」
「──そんなん、ねぇよ・・大抵、魔法で足りちまうから」
「・・・・・横着者め」
「悪ぃ・・ど、どうしたら・・病院、行くか?」
「これぐらいで死には、しない」
「──そんなん、ねぇよ・・大抵、魔法で足りちまうから」
「・・・・・横着者め」
「悪ぃ・・ど、どうしたら・・病院、行くか?」
「これぐらいで死には、しない」
はぁっと細く息を吐く白い顔。
うろたえるオレを尻目に、彼女は手近にあったティッシュを数枚取って、とりあえずの止血に努めた。
あっという間に朱に染まるソレ。
あまりの出血の多さに、オレの血の気も退いた。死なないって言ったって、委員長、すげぇ痛そうだ・・取ったままの手を離せないまま、ただ、傷口を見つめる。
彼女の痛みを取り除く方法は・・?
うろたえるオレを尻目に、彼女は手近にあったティッシュを数枚取って、とりあえずの止血に努めた。
あっという間に朱に染まるソレ。
あまりの出血の多さに、オレの血の気も退いた。死なないって言ったって、委員長、すげぇ痛そうだ・・取ったままの手を離せないまま、ただ、傷口を見つめる。
彼女の痛みを取り除く方法は・・?
「─────」

ふと、なにかに憑かれたように、オレの身体が動いた。
手のひらに口づけて、裂け目にゆっくり舌を這わせる。
口の中に広がる鉄の風味は、確かな委員長の血の味。
手のひらに口づけて、裂け目にゆっくり舌を這わせる。
口の中に広がる鉄の風味は、確かな委員長の血の味。
「痛っ・・な、なにをする!?」
委員長の強い口調に、ハッと我に返った。
あれ・・今、オレ、なにを・・。
自分でも自分の行動がよく解らない。
ただ──そうしたかった。
あれ・・今、オレ、なにを・・。
自分でも自分の行動がよく解らない。
ただ──そうしたかった。
「す、すまん。悪かった、今のはオレもよく・・」
「・・・・・傷」
「は?」
「・・治ってる」
「へ?」
「・・・・・傷」
「は?」
「・・治ってる」
「へ?」
指摘されて見ると、血を滲ませていた痛々しい傷口は、ほんの少しの皮膚の引きつれを残して、塞がっていた。
「おまえ、なにをした?」
「いや、なにもしてねぇと・・」
「ならばなぜ、傷が治る?」
「ま、魔法が効いたとか」
「──それはありえん」
「いや、なにもしてねぇと・・」
「ならばなぜ、傷が治る?」
「ま、魔法が効いたとか」
「──それはありえん」
即答で否定される。
むしろ、こっちが訊きたいんだが・・つか、魔法以外でなにかって言ったら、今の不可解な行動しか。
まさか、なぁ?傷口舐めたら治りました。じゃ、世話ねぇっての。
思案顔の委員長と目が合う。
彼女もオレと同じ考えに捕われていたのか、「まさか」とでも言うように小さくかぶりを振ると、視線を落とした。
テーブルの上は割れたガラスコップの破片やら、委員長の血で惨憺たる状態だ。
コレ、片付けねぇとなぁ。
ぼんやりそんなことを思っていると、おもむろに、彼女が割れた破片を掴み、治ったばかりの手首に押しあてて、スッとひいた。皮膚が裂け、血が滲む。
むしろ、こっちが訊きたいんだが・・つか、魔法以外でなにかって言ったら、今の不可解な行動しか。
まさか、なぁ?傷口舐めたら治りました。じゃ、世話ねぇっての。
思案顔の委員長と目が合う。
彼女もオレと同じ考えに捕われていたのか、「まさか」とでも言うように小さくかぶりを振ると、視線を落とした。
テーブルの上は割れたガラスコップの破片やら、委員長の血で惨憺たる状態だ。
コレ、片付けねぇとなぁ。
ぼんやりそんなことを思っていると、おもむろに、彼女が割れた破片を掴み、治ったばかりの手首に押しあてて、スッとひいた。皮膚が裂け、血が滲む。
「な・・ナニしてんだ!?」
慌てて空いた手で破片を取り上げ、傷口を看た。
見事な・・リストカット。
再び、委員長の奇麗な顔が苦痛に歪んだ。
見事な・・リストカット。
再び、委員長の奇麗な顔が苦痛に歪んだ。
「痛い・・」
ぽつりと吐き出された間抜けとしか言いようのない感想に、血が上る。
「あ、当たり前じゃねーか!手首切るなんて、ナニ考えてンだよ。ふざけんな!!」
「だったら、治せ」
「はぁ?」
「・・舐めてくれ」
「だったら、治せ」
「はぁ?」
「・・舐めてくれ」
ざっくり切れた手首を突き付け、きっぱりと言う彼女。
もしかして・・可能性を確認するためにしたのか?
こいつ・・本当はすげぇバカなのかもしれない・・。
短絡とも取れる思い切った行動に、オレは呆れる。
それでも、さっきの比じゃない痛みに襲われているだろう委員長を放っておけるはずもなく、言われるままに口づけて、傷を舐めた。
もしかして・・可能性を確認するためにしたのか?
こいつ・・本当はすげぇバカなのかもしれない・・。
短絡とも取れる思い切った行動に、オレは呆れる。
それでも、さっきの比じゃない痛みに襲われているだろう委員長を放っておけるはずもなく、言われるままに口づけて、傷を舐めた。
「どう、だ?」
おそるおそる唇を離し、確認してみると・・やはり、傷口は塞がっている。
可能性が真実であることを証明してしまった。
可能性が真実であることを証明してしまった。
「なんでだ・・?」
「知るか」
「知るか」
それでも、到底納得なんかできなくて、二人難しい顔で首を捻る。
一般的に、魔法ってのは訳の解らない特別な呪文とかによって発動するモンだと思われているが、実際、そんな難しい代物じゃなかった。
何気ない言葉に、単語に、想いに、自分の意思で魔力を込めることによって、それがそのまま魔法として現実になるんだ。
つまり、魔法は理屈じゃなくて、受け継いだ遺伝子──身体を流れる魔力を帯びた血で使うモノ。
あー・・待てよ。
魔法についておさらいしていたオレは、ソレに気づいた。
一般的に、魔法ってのは訳の解らない特別な呪文とかによって発動するモンだと思われているが、実際、そんな難しい代物じゃなかった。
何気ない言葉に、単語に、想いに、自分の意思で魔力を込めることによって、それがそのまま魔法として現実になるんだ。
つまり、魔法は理屈じゃなくて、受け継いだ遺伝子──身体を流れる魔力を帯びた血で使うモノ。
あー・・待てよ。
魔法についておさらいしていたオレは、ソレに気づいた。
「・・もしかしたら、遺伝子が反応したのかも」
「遺伝子?」
「血とか体液って、そいつが誰か解る、変わらないもんなんだよな?」
「・・正確に言えば、DNA(デオキシリボ核酸)を中心として構成される、染色体が持つ情報そのもののこと。だ。つまりは、命在るものを明確に指し示すことの出来る、唯一不変の情報源だな。それがなんだという?」
「いや、そう小難しい単語並べられても、よく解んねぇんだけど・・とにかく、委員長の魔力はオレが封じちまった(覚えてないが)わけだよな?つまりは、根 源が無いわけじゃないから、魔力を持った者(オレ)の体液(ぶっちゃけ、唾液)に接触して、遺伝子レベルで目覚めて、少しばかり引き出されたんじゃねぇか なー、と」
「遺伝子?」
「血とか体液って、そいつが誰か解る、変わらないもんなんだよな?」
「・・正確に言えば、DNA(デオキシリボ核酸)を中心として構成される、染色体が持つ情報そのもののこと。だ。つまりは、命在るものを明確に指し示すことの出来る、唯一不変の情報源だな。それがなんだという?」
「いや、そう小難しい単語並べられても、よく解んねぇんだけど・・とにかく、委員長の魔力はオレが封じちまった(覚えてないが)わけだよな?つまりは、根 源が無いわけじゃないから、魔力を持った者(オレ)の体液(ぶっちゃけ、唾液)に接触して、遺伝子レベルで目覚めて、少しばかり引き出されたんじゃねぇか なー、と」
実際、委員長の傷跡にはごくわずかながら、オレのモノじゃない別の者の魔力を感じる。
これはオレが治したんじゃなくて、委員長自らの治癒力で回復したんじゃないだろうか。
とはいえ、普通、あんだけの傷が数秒で塞がるなんてありえない。
あくまで推測ではあるが、これは、彼女の魔力が作用して、己の治癒力を高めた結果なんじゃないのか?
これはオレが治したんじゃなくて、委員長自らの治癒力で回復したんじゃないだろうか。
とはいえ、普通、あんだけの傷が数秒で塞がるなんてありえない。
あくまで推測ではあるが、これは、彼女の魔力が作用して、己の治癒力を高めた結果なんじゃないのか?
「・・つまり、おまえの体液に接触すればするほど、私は魔力を取り戻すということになるのか?」
「んー・・あくまで仮説ってか、“もしかしたら”の話だけどな」
「──もう一度、切ってみるか」
「ヤメロ」
「んー・・あくまで仮説ってか、“もしかしたら”の話だけどな」
「──もう一度、切ってみるか」
「ヤメロ」
さらりと物騒なことを口にしてくれる委員長の両手を素早く取り、身動きを封じた。
二度までも痛々しい姿見せられて、また、彼女が傷を負って血を流そうものなら、こっちの精神がもたねぇ・・。
二度までも痛々しい姿見せられて、また、彼女が傷を負って血を流そうものなら、こっちの精神がもたねぇ・・。
「冗談だ。わたしだって、これ以上、痛い思いをするのは嫌だ」
「委員長の場合、冗談が冗談に聞こえねぇんだよ。現に2度目のはシャレになってねぇ。傷が塞がらなかったら大事になってただろ?魔法効かないんなら、無茶しないでくれ」
「委員長の場合、冗談が冗談に聞こえねぇんだよ。現に2度目のはシャレになってねぇ。傷が塞がらなかったら大事になってただろ?魔法効かないんなら、無茶しないでくれ」
半目で見据えて嗜める。
さすがの彼女も悪いと思ったのか、大人しく「わかった」と答えて頷いた。
それにしても・・本当に、接触が委員長の魔力を回復する手段なんだとしたら、それはそれで新たな問題を引き起こすんじゃないだろうか。
傷口からじゃなく、体液に接触する方法っつったら・・。
さすがの彼女も悪いと思ったのか、大人しく「わかった」と答えて頷いた。
それにしても・・本当に、接触が委員長の魔力を回復する手段なんだとしたら、それはそれで新たな問題を引き起こすんじゃないだろうか。
傷口からじゃなく、体液に接触する方法っつったら・・。
「・・そりゃ、無理だろ」
「なにが無理なんだ?」
「なにが無理なんだ?」
思わず呟きをもらしたオレを、怪訝な表情でじっと見つめる黒い瞳。
「あっさり諦めるな。仮説だとしても、可能性が高いのならば、違う方法を探して試すべきだ。傷ではない接触の仕方が、きっとあるはず」
ポジティブな打開策を語る形のイイ唇を目の当たりに、心臓が跳ね上がった。
あるっちゃ、あるんだが・・。
その案を口にするのはかなり躊躇われる。
てか、オレは委員長に快く思われてないし、気軽にできることでもない。言ったところで実現の可能性はゼロに近いだろうな。
どうしたもんだろ・・。
「そう、だな・・」
あるっちゃ、あるんだが・・。
その案を口にするのはかなり躊躇われる。
てか、オレは委員長に快く思われてないし、気軽にできることでもない。言ったところで実現の可能性はゼロに近いだろうな。
どうしたもんだろ・・。
「そう、だな・・」
結局、オレは浮かんだ打開策を言うことができず、とぼけ気味に肩を落とした。
唐突に降り掛かった、厄介なコト──。
万能な優等生の委員長・黒井有栖と暮らすはめになったのは、幼なじみな女親同士の策略。
きっかけはどうあれ、潜む因縁は、確かに全部自分のせいで。
希望の光とも思えた仮説は、やっぱり、オレの立場を悪くするだけで。
彼女の魔力を封じたのが、他でもなくオレ(らしい)とくれば、全ては自業自得。
・・オレの人生、どうなっちまうんだろ・・。
万能な優等生の委員長・黒井有栖と暮らすはめになったのは、幼なじみな女親同士の策略。
きっかけはどうあれ、潜む因縁は、確かに全部自分のせいで。
希望の光とも思えた仮説は、やっぱり、オレの立場を悪くするだけで。
彼女の魔力を封じたのが、他でもなくオレ(らしい)とくれば、全ては自業自得。
・・オレの人生、どうなっちまうんだろ・・。
それでも、先に起こることが、これ以上厄介でないことを願って止まない。
はぁ・・。