学校での格付けは、お世辞にもいいものじゃない。
裏技をつかえば幾らでもいい成績は取れたし、評判を良くするなんて朝飯前だったが、元来、のほほん気質の自分には合わないと、早々にその線から脱落している。
今では、期待できない劣等生として、先生はもちろん、クラスの奴らの一目を違う意味で置いていた。
だから、昨日、学校をサボったとしても全く気にされる道理もなく、つまらない授業をぼんやり受ける一日が、また始まると踏んで当然だろう。
成り行きとはいえ、一緒にサボった形の委員長は、持ち前の評判の良さと優等生である事実で心配はされたものの、同じく、変わらない一日を送るはずだった。
一寸、変わった現実を目の当たりにするまでは。
誰だ、コイツ・・。
見慣れた教室、見慣れたメンツの中、知らないヤツが居た。
自分を棚において、言えた義理じゃないが──一目で異質なその容姿。
銀髪に青い瞳。繊細な顔の作りをした、いかにも女受けしそうな美形ってツラの男子生徒。
タイミング悪くってのも変だが、サボった昨日、転校して来たとかそういうんだろうか?別のクラス・・って感じでもねぇな。
はっきり言って、校内で初めて見る顔だ。その割にはやたら打ち解けてやがる。
美形ってのぁ、色々とお得なようで・・。
男女関係なくクラス連中と仲良く話す様をぼんやり横目に見ながら、自分の席に着く。
そういや、委員長は?
教室を見回すものの、姿がない。
オレより早くについてて当然だってのに、らしくねぇ話だが、一体、どこで油売ってんだか・・。
自分を棚において、言えた義理じゃないが──一目で異質なその容姿。
銀髪に青い瞳。繊細な顔の作りをした、いかにも女受けしそうな美形ってツラの男子生徒。
タイミング悪くってのも変だが、サボった昨日、転校して来たとかそういうんだろうか?別のクラス・・って感じでもねぇな。
はっきり言って、校内で初めて見る顔だ。その割にはやたら打ち解けてやがる。
美形ってのぁ、色々とお得なようで・・。
男女関係なくクラス連中と仲良く話す様をぼんやり横目に見ながら、自分の席に着く。
そういや、委員長は?
教室を見回すものの、姿がない。
オレより早くについてて当然だってのに、らしくねぇ話だが、一体、どこで油売ってんだか・・。
「おはよ~、ジン。昨日はどうしたん~?」
横からの声に視線を上げ、ホッと一息ついた。
背の高いぬぼーっとした風体の、その実、意外に整った顔をした彼の名は峰泰斗(みねたいと)。
オレのクラスメイトであり、親友だ。
彼に訊けば、美形くんの正体も解るだろう。
背の高いぬぼーっとした風体の、その実、意外に整った顔をした彼の名は峰泰斗(みねたいと)。
オレのクラスメイトであり、親友だ。
彼に訊けば、美形くんの正体も解るだろう。
「ッス、峰ちゃん。まー、自主創立記念日ってコトで」
「サボりか?普段ならジンが休んでも影響ないけどな~。委員長までだろ~?書記の彼、大変だったみたいだよ」
「サボりか?普段ならジンが休んでも影響ないけどな~。委員長までだろ~?書記の彼、大変だったみたいだよ」
オレが視線を向けてたのと同じ方を見て、峰ちゃんは苦く笑った。
ウン。確かに、このクラスの書記である新谷愛由(しんたにあゆ)も転校生の取り巻きの中にいるが・・“彼”じゃなくて、“彼女”だろう?と。
峰ちゃん、そのボケつまらんて。
真意を測りかねながらも、ここは突っ込むべきだろうと口を開きかける。
ウン。確かに、このクラスの書記である新谷愛由(しんたにあゆ)も転校生の取り巻きの中にいるが・・“彼”じゃなくて、“彼女”だろう?と。
峰ちゃん、そのボケつまらんて。
真意を測りかねながらも、ここは突っ込むべきだろうと口を開きかける。
「しっかし、いまだに信じられんね~。クラス一の問題児であるジンが副委員長で、クラス一・二を争う容姿端麗、
頭脳明晰な戒くんが書記なんてさ。世も末って感じだ」
「はぁああああぁ!????」
「はぁああああぁ!????」
風体通り、のほほんととんでもないことを言ってくれた親友に、素っ頓狂な声を上げたオレを誰が責められるだろう。
──いや、思いっきり、回りの目は責めていたが・・。
この際、そんな些細なモン気にしてる場合じゃねぇ。
「なに、ジン。大声出して・・ウルサイよ~?」
間近でオレの声の被害を受けた峰ちゃんも、非難めいた目を向ける。
誰のせいだ、誰の。
親友とはいえ、彼の言葉には聞き逃せない違和感・・おかしな点が二つあった。
誰のせいだ、誰の。
親友とはいえ、彼の言葉には聞き逃せない違和感・・おかしな点が二つあった。
「つか、峰ちゃん。寝ぼけてンの?」
「んん?」
「誰が副委員長だって?」
「ジン」
「・・副委員長は、吉井和生(よしいかずお)だろ?」
「彼は図書委員じゃないか」
「んん?」
「誰が副委員長だって?」
「ジン」
「・・副委員長は、吉井和生(よしいかずお)だろ?」
「彼は図書委員じゃないか」
・・そこまで念入りのボケなのか、峰ちゃん。
「あー・・百歩譲って、そうだとしよう。んで、カイってのぁ、あの転校生?なンで昨日来たばっかの彼が、書記なワケ。新谷が書記だったと・・」
まさか、今度は彼女、保険委員デス。とか言うんじゃないだろうな・・。
「へ?誰が転校生?黒羽戒(くろうかい)くんは、入学式以来のクラスメイトだろ~。それに、新谷ちゃんは保険委員だ。・・ジン、寝ぼけてんのどっち。それともど忘れ~?」
峰ちゃんはオレの予想を裏切ることなく、言ってのける。
はぁ・・もぅ、イイって。
オレは半ば呆れながら、悪ふざけのすぎる峰ちゃんの顔を見て大きな溜息をついた。
はぁ・・もぅ、イイって。
オレは半ば呆れながら、悪ふざけのすぎる峰ちゃんの顔を見て大きな溜息をついた。
「──峰ちゃん、そろそろまぢで話してくれ」
「?」
「このオレが副委員長なワケないだろ。それにあんな目立つ容姿のヤツ、ド忘れしようったって、そう簡単にできねぇっての」
「だ~か~ら~、世も末だって言ったじゃん。そうだよね~。銀髪に青い目の美形なんてさぁ、まさに女の子の憧れって感じ。そういう意味では、金髪碧眼なジンもモテそうなのに・・」
「?」
「このオレが副委員長なワケないだろ。それにあんな目立つ容姿のヤツ、ド忘れしようったって、そう簡単にできねぇっての」
「だ~か~ら~、世も末だって言ったじゃん。そうだよね~。銀髪に青い目の美形なんてさぁ、まさに女の子の憧れって感じ。そういう意味では、金髪碧眼なジンもモテそうなのに・・」
じーっとオレの顔を見て、今度は峰ちゃんが大きな溜息をつく。
「・・比べるのが酷だったね。ごめんよ~」
「真顔で謝るなっ!えれぇ、ムカツクっ!!」
「真顔で謝るなっ!えれぇ、ムカツクっ!!」
言って、オレは親友の首を軽く絞めつつ、チラリと話題の美形・黒羽戒の顔を見てみた。
端麗な目元は緩やかに細まり、傍から見ても柔らかい物腰が滲み出ている。
取り巻きと談笑しては、優しげな笑顔を振りまいていて・・典型的なモテ要素を備えた、女的感覚で表現すると、“王子様”ってヤツだな。
端麗な目元は緩やかに細まり、傍から見ても柔らかい物腰が滲み出ている。
取り巻きと談笑しては、優しげな笑顔を振りまいていて・・典型的なモテ要素を備えた、女的感覚で表現すると、“王子様”ってヤツだな。
「ははは!でも、俺はジンのがイイ顔してると思うよ~?」
にっこり笑ってフォローをくれる彼に毒気を抜かれ、あっさり束縛を解いたオレは、広い両肩にポンと手を乗せ、小さく首を振った。
見え透いた慰めにも似た言葉。けれど、込められた気遣いだけは伝わる。
見え透いた慰めにも似た言葉。けれど、込められた気遣いだけは伝わる。
「サンキュ、峰ちゃん。お世辞でも嬉しーわ」
「いや~、お世辞とかじゃなく・・なんていうか、戒くんって、表で見せてる表情と内面で思ってること、違う気がするんだよね~。それも凄まじく質悪い感じ」
「うーむ・・」
「いや~、お世辞とかじゃなく・・なんていうか、戒くんって、表で見せてる表情と内面で思ってること、違う気がするんだよね~。それも凄まじく質悪い感じ」
「うーむ・・」
峰ちゃんはこう見えて、かなり人物的観察眼に優れていた。
質が悪い、ねぇ。そうは見えないが・・実際、どうなんだろ?
てか、ソレ以前に、やっぱり黒羽戒なる人物に心当たりはないし、自分が副委員長になった憶えもない。
一体、どうなってんだ?
まるで、狐につままれたような、魔法にでも掛かったみた・・!
質が悪い、ねぇ。そうは見えないが・・実際、どうなんだろ?
てか、ソレ以前に、やっぱり黒羽戒なる人物に心当たりはないし、自分が副委員長になった憶えもない。
一体、どうなってんだ?
まるで、狐につままれたような、魔法にでも掛かったみた・・!
「ぁ」
魔法・・そう、魔法だ!
なんでこんな簡単なことに気づかなかったんだろ。他でもない、オレ自身が散々してきたコトじゃねーか。
そいつの意図も目的も、いや、そいつ自身の正体すら、今はまだ解らないが──全てはたった一日の内に作り替えられた、オレの知らない現実だ。
そして、その現実を作り出したのは・・。
なんでこんな簡単なことに気づかなかったんだろ。他でもない、オレ自身が散々してきたコトじゃねーか。
そいつの意図も目的も、いや、そいつ自身の正体すら、今はまだ解らないが──全てはたった一日の内に作り替えられた、オレの知らない現実だ。
そして、その現実を作り出したのは・・。
「──黒羽戒」
明確な意思と、同じ能力を持つ者なら反応を示すだろう魔力を込めて、整いすぎた容姿を見据える。
気づいたヤツが、ゆっくりとこちらを見た。
相変わらずやんわりと微笑んだままの表情は、ほんの一瞬、崩れる。
向けられたのは、挑戦的な光を宿した──冷たい青。
気づいたヤツが、ゆっくりとこちらを見た。
相変わらずやんわりと微笑んだままの表情は、ほんの一瞬、崩れる。
向けられたのは、挑戦的な光を宿した──冷たい青。
コイツ・・。
どうやら、峰ちゃんの観察眼は的を射て真実を語っていたようだ。
偽善者の仮面を被った、おそらくはオレと同じ魔法使い。
だが・・なぜ?
一体、どんな目的で、コイツはココに居る?わざわざオレと同じクラスに潜り込んで、変に役職なんか与えて・・。
考えたところで、答えられるのは当のご本人様、ただ一人だけ。
オレは腹を決め、直接、ヤツに真相を問いただそうと腰を浮かせたのだが──。
偽善者の仮面を被った、おそらくはオレと同じ魔法使い。
だが・・なぜ?
一体、どんな目的で、コイツはココに居る?わざわざオレと同じクラスに潜り込んで、変に役職なんか与えて・・。
考えたところで、答えられるのは当のご本人様、ただ一人だけ。
オレは腹を決め、直接、ヤツに真相を問いただそうと腰を浮かせたのだが──。
「・・カイ・・?」
聞き慣れた声が、オレより先にヤツ──黒羽戒の名を呼んだ。
戸口に立ち、今にも教室に踏み入ろうとしていた声の主である委員長は、信じられないモノを発見したという風に、大きく目をみはっている。
戸口に立ち、今にも教室に踏み入ろうとしていた声の主である委員長は、信じられないモノを発見したという風に、大きく目をみはっている。
「やぁ、アリス。おはよう」
対し、黒羽は憎らしいほど柔らかい笑みを浮かべ、穏やかな声でのんびり挨拶をくれた。
アリス?
──委員長相手に呼び捨てとか、絶対、調子乗り過ぎだろ。オマエの魔法は彼女に通じてねーんだ。この状況、どう切り抜けるつもりなんだか、かなり見物だよなァ?
浮きかけた腰を再び落とし、オレは二人のやりとりを見守る形を取った。
アリス?
──委員長相手に呼び捨てとか、絶対、調子乗り過ぎだろ。オマエの魔法は彼女に通じてねーんだ。この状況、どう切り抜けるつもりなんだか、かなり見物だよなァ?
浮きかけた腰を再び落とし、オレは二人のやりとりを見守る形を取った。
「・・な、ぜ、居るの・・今、どうなってる?」
「なぜって・・もぅ時間、あまりないよね?だから、委員長のキミと、副委員長のカレと、書記のボクとで、話さなきゃならないこと、あるんじゃないかな」
「ジンが・・副委員長?」
顎で差し示され、委員長がオレを見る。
いや、言いたいことは解るが・・ンな嫌そうな表情せんでも・・。
「なぜって・・もぅ時間、あまりないよね?だから、委員長のキミと、副委員長のカレと、書記のボクとで、話さなきゃならないこと、あるんじゃないかな」
「ジンが・・副委員長?」
顎で差し示され、委員長がオレを見る。
いや、言いたいことは解るが・・ンな嫌そうな表情せんでも・・。
「・・そういうことになってるのね。どうあっても──話さないといけない?」
「うん。ボクが居るのはそのためだし、納得しないよ?」
「・・・・・解ったわ。話し合いましょう」
「うん。ボクが居るのはそのためだし、納得しないよ?」
「・・・・・解ったわ。話し合いましょう」
思っていたよりもかなりあっさりと、委員長は折れた。
てか、二人は顔見知りなのか?会話の端々に接し慣れた雰囲気が・・。
とにかく、やりとりから察するに、現状がそれまでの日常とはチガウ、故意に魔法で作り替えられた世界であることを知る三人だけで、話をしようというわけらしい。
それはそれで、望むところだ。
委員長とは顔見知りでも、オレとは全くの初対面で、こんな不可解な改ざんをしてくれた理由を訊く権利があるはず。
てか、二人は顔見知りなのか?会話の端々に接し慣れた雰囲気が・・。
とにかく、やりとりから察するに、現状がそれまでの日常とはチガウ、故意に魔法で作り替えられた世界であることを知る三人だけで、話をしようというわけらしい。
それはそれで、望むところだ。
委員長とは顔見知りでも、オレとは全くの初対面で、こんな不可解な改ざんをしてくれた理由を訊く権利があるはず。
「真山先生公認の役員会議を始めますよ。委員長殿、副委員長殿、準備室へどうぞ」
青い目がオレを捕らえ、にっこり微笑む。
「行ってやろーじゃねぇか」
「公認で授業サボれるなんて、イイ身分だな~。まぁ、ちっとは協力してあげなよ?ジン」
「大いに協力するつもりだよ、峰ちゃん」
「公認で授業サボれるなんて、イイ身分だな~。まぁ、ちっとは協力してあげなよ?ジン」
「大いに協力するつもりだよ、峰ちゃん」
親友の軽口に、不敵な笑みを返して席を立つと、銀髪の招待に従って準備室へ足を進める委員長の後ろに続いた。
ひどくゆっくり歩く彼女と肩が並び、横から伸びた手に軽く袖口を引かれる。
ひどくゆっくり歩く彼女と肩が並び、横から伸びた手に軽く袖口を引かれる。
「・・ジン、お願い・・」
「ン?」
「わたしの隣に座って・・手を・・繋がせて・・」
「委員・・?」
「おね、が、い・・」
「ン?」
「わたしの隣に座って・・手を・・繋がせて・・」
「委員・・?」
「おね、が、い・・」
オレにだけ聞こえる小さな声音で告げて、委員長は歩くスピードを元に戻し、そそくさと準備室に入っていった。
なんで、オレと手・・?
脈絡のない唐突な申し入れに、あまり容量の多くないオレの頭は簡単に混乱する。
各教室にはクラス役員や先生とのミーティング用に設えられた小さな空間があって、先に分け入った二人は丁度、向かい合う形で座っていた。
縋るような黒曜石の輝きを無下には出来ず、オレは彼女の意図を理解できないまま、隣に座り、横に手を差し出す。
無感情に冷静な横顔とは裏腹に、性急にすり合わされた細い指先はオレのソレにしっかりと絡みつき、力強く握られた。
小さな手が微かに震えているのは──気のせいじゃない。
なンで?
委員長は、ナニを恐れる?
・・思い当たるモノは一つしか無い。
なんで、オレと手・・?
脈絡のない唐突な申し入れに、あまり容量の多くないオレの頭は簡単に混乱する。
各教室にはクラス役員や先生とのミーティング用に設えられた小さな空間があって、先に分け入った二人は丁度、向かい合う形で座っていた。
縋るような黒曜石の輝きを無下には出来ず、オレは彼女の意図を理解できないまま、隣に座り、横に手を差し出す。
無感情に冷静な横顔とは裏腹に、性急にすり合わされた細い指先はオレのソレにしっかりと絡みつき、力強く握られた。
小さな手が微かに震えているのは──気のせいじゃない。
なンで?
委員長は、ナニを恐れる?
・・思い当たるモノは一つしか無い。
「さて・・アリスはボクを知ってるけど、改めて、自己紹介した方がいいよね?」
知ってか知らずか、元凶がのほほんと口を開いた。
「そう、願いたいモンだ。んで、こんなフザケタ真似してくれたワケも、きっちり話して欲しいね」
「血の気が多いな、キミは。もっと、冷静に行こうよ。ボクもできれば穏便に話を済ませたいし・・って、ああ、自己紹介だったね。ボクは黒羽戒。キミと同じ魔法界出身のキミとは違って“有能”な魔法使いだよ」
「血の気が多いな、キミは。もっと、冷静に行こうよ。ボクもできれば穏便に話を済ませたいし・・って、ああ、自己紹介だったね。ボクは黒羽戒。キミと同じ魔法界出身のキミとは違って“有能”な魔法使いだよ」
いけ好かない・・。
蔑む青い目も気に入らなかった。
明かにオレを馬鹿にし、敵視してるのが丸解りだ。
蔑む青い目も気に入らなかった。
明かにオレを馬鹿にし、敵視してるのが丸解りだ。
「・・へぇ。その“有能”な魔法使いサンは、ちみっちゃく人間界の一クラスを引っ掻き回すのが趣味ってか?」
「アハハ。ボクはそんなに悪趣味じゃないよ。小うるさいだけの能無しを手駒にして遊んでも、楽しめないだろうし・・。なにより、引っ掻き回したいものは、別にあるんだよね」
「アハハ。ボクはそんなに悪趣味じゃないよ。小うるさいだけの能無しを手駒にして遊んでも、楽しめないだろうし・・。なにより、引っ掻き回したいものは、別にあるんだよね」
スッと目を細め、奇麗な顔が愉しげに嗤った。
本能が警告する。
コイツは危険だ、と。
「──やめて、カイ。わたしにはわたしのやり方があるわ。まだ時間はあるし、希望もある。下手に首を突っ込まれても迷惑だと、言ったでしょう?」
本能が警告する。
コイツは危険だ、と。
「──やめて、カイ。わたしにはわたしのやり方があるわ。まだ時間はあるし、希望もある。下手に首を突っ込まれても迷惑だと、言ったでしょう?」
立ちこめた暗雲を払う、凛とした声がヤツの密やかな目論見を拒み、容赦なく非難した。
だが、黒羽は一歩も退かない。やれやれと肩をすくめ、首を振る。
だが、黒羽は一歩も退かない。やれやれと肩をすくめ、首を振る。
「アリスのやり方なんて、どうせヌルイでしょ?実際、時間なんてないし、希望だって薄いくせに」
「・・そんなこと、ない。少しずつだけど、進展してるわ・・」
「進展ねぇ・・その割に、ちっとも魔力戻ってないみたいだけど?一体、どこまでいったのさ」
「・・・・・キス、したもの・・」
「・・そんなこと、ない。少しずつだけど、進展してるわ・・」
「進展ねぇ・・その割に、ちっとも魔力戻ってないみたいだけど?一体、どこまでいったのさ」
「・・・・・キス、したもの・・」
ぽつりととんでもないことをバラしてくれた彼女に、オレはぎょっとなった。
オイオイオイ。
なンで、こんな場面でそんなコト、わざわざヤツに言うかな・・。
所在なく、ただ頭を掻いたオレの顔は、面白いほど素直に温度を上げて赤く染まる。
繋いだ手すらも汗ばんで、気恥ずかしさに耐えきれなくなって離そうとしても、委員長はそれを許さず、ますます握る手に力を込めてくる始末。
困りきってちらりと彼女を見ると、丁度、目線が合う。
委員長はオレ以上に真っ赤な顔をしていた。
所在なく、ただ頭を掻いたオレの顔は、面白いほど素直に温度を上げて赤く染まる。
繋いだ手すらも汗ばんで、気恥ずかしさに耐えきれなくなって離そうとしても、委員長はそれを許さず、ますます握る手に力を込めてくる始末。
困りきってちらりと彼女を見ると、丁度、目線が合う。
委員長はオレ以上に真っ赤な顔をしていた。
あー・・ちょっと、カワイイとか思ったオレは、かなり情緒不安定かもしれん。